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2015.05.01

育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付の取扱について

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1.育児休業期間中の就業と育児休業給付

平成26年(2014年)10月1日より、育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付(英語版:Child Care Benefits)の取扱が変更となりました。


育児休業中の就労には、代替要員が確保されていても、人手不足や繁忙期の応援のために臨時に就労してもらう場合が考えられます。あるいは、専門的業務を担当している方や、管理職として主要なポジションに就いている方が、育児休業中であっても要請に応じて臨時に就労する場合が考えられます。


育児休業給付にはこのような考え方があるので、育児休業期間中に臨時に就業した場合でも、出勤した日数および就業時間数により育児休業給付金が減額されることなく給付されます。この基準が平成26年10月1日より緩和され、就業日数にかかわらず、就業時間数が一定以下であれば給付金が支給されることとなりました。


育児休業中の社員の方が就労する場合は、育児休業給付支給額への影響がありますので、出勤日数や給与の額にも留意しながら勤務してもらうことをお勧めいたします。しかしながら、前提には育児休業中であることがあります。恒常的な勤務はそもそも育児休業なのかという論点があり、人事管理上は休職と復職の区分を明確にしたうえで勤務してもらうことが望ましいでしょう。


今回の改正は、あくまでも、育児休業期間中に、人手不足や繁忙期の応援のために一時的に就業している方への例外的な取り扱いとなっていますので、ご留意ください。


2.育児休業給付とは

雇用保険の被保険者が育児休業を取得する場合、雇用保険から育児休業給付が支給されます。育児休業給付には、育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」があります。育児休業給付金を受けることができるのは、1歳(一定の場合には1歳2か月、さらに一定の場合には1歳6か月)に満たない子を養育するために育児休業を取得する一般被保険者の方で、育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある方です。支給対象者は男女を問いません。


平成22年4月1日に育児休業給付制度が改正され、従前の、育児休業中に支給されていた「育児休業基本給付金」と育児休業から職場に復帰し6ヶ月を経過した時点で支給されていた「育児休業者職場復帰給付金」が統合され、「育児休業給付金」として全額、育児休業中に支給されることになりました。


育児休業給付金の支給額は、支給単位期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(注1)(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。


(注1)平成26年4月1日以降に育児休業を開始した方が対象。平成26年3月31日までに開始された育児休業は、育児休業の全期間について休業開始時賃金日額×支給日数の50%相当額が支給されます。


3.育児休業期間中に就業した場合

育児休業給付金は、これまで、対象の期間中に11日以上出勤(就業)した場合には、労働時間に関係なく給付金が支給されませんでした。


この取り扱いが変更となり、平成26年10月1日からは、出勤(就業)日数にかかわらず、支給単位期間中(1か月)の労働時間が80時間以下のときは育児休業給付金が支給されることになりました。


これにより、育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の取扱いは、次の通りとなります。


支給単位期間中(1か月)の、
 ● 就業日数10日以下  →支給される
 ● 就業日数が11日以上、就業時間が80時間以下  →支給される
 ● 就業日数が11日以上、就業時間が80時間超   →支給されない


4.育児休業給付金の支給額

各支給単位期間ごとの支給額は、原則として、
休業開始時賃金日額 x 支給日数 x 67% です。(注2)


(注2)育児休業の開始から6か月経過後は50%


支給の対象期間中に賃金の支払がある場合、支払われたその賃金の額が休業開始時の賃金日額に支給日数をかけた額に対し、13%を超えるときは支給額が減額され、80%以上のときは給付金が支給されません。


減額支給の場合、各支給単位期間中(1か月)の賃金の額と「賃金日額 x 支給日数」の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額との合計額が「賃金日額 x 支給日数」の80%を超えるときには、当該超えた額が減額されて支給されます。(注3)


また、賃金だけで「休業開始時賃金日額 x 支給日数」の80%以上となる場合は支給されません。


育児休業給付金の支給額には、上限額・下限額があります。休業開始時賃金日額 x 30によって算定された賃金月額が 426,000円を超える場合は、426,000円となります。また、賃金月額が、69,000円を下回る場合は、69,000円となります。(注4) したがって、平成27年7月31日までの育児休業給付の上限額は、285,420円(支給率67%)、育児休業の開始から6か月経過後は、213,000円(支給率50%)となります。


(注3)
育児休業の開始から6カ月経過前までは、賃金が、「休業開始時賃金日額 x 支給日数」の
● 13%以下の場合  →「賃金日額 x 支 給日数」の67%相当額を支給
● 13%超 80%未満の場合  →「賃金日額 x 支給日数」の80%相当額と賃金の差額を支給
● 80%以上の場合  →支給されない


育児休業の開始から6カ月経過後は、賃金が、「休業開始時賃金日額 x 支給日数」の
● 30%以下の場合  →「賃金日額 x 支給日数」の50%相当額を支給
● 30%超 80%未満の場合  →「賃金日額 x 支給日数」の80%相当額と賃金の差額を支給
● 80%以上の場合  →支給されない


(注4)この上限額・下限額は毎年8月1日に変更されます。上限額426,000円・下限額69,000円は平成27年7月31日までの額です。


5.育児休業給付金支給申請書の様式変更

育児休業期間中の就業の取扱いの変更に伴い、平成26年10月1日から「育児休業給付受給資格 確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」と「育児休業給付金支給申請書」の様式が変わりました。 就業日数が10日を超える場合は就業時間の確認が必要になりますので、支給申請書の他に、タイムカード、賃金台帳、就業規則など就業時間や休憩時間が分かる書類の提出が必要となります。


くわしくは、下記リーフレットをご参照ください。
育児休業給付金など、社会保険手続きについてのご相談はご遠慮なく弊社までお問い合わせください。


育児休業給付の内容および支給申請手続きについて 
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/ikuji_kyufu.pdf
育児休業給付金の取り扱いの変更について(平成26年10月1日から)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000042797_2.pdf


育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付の取扱について

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