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2015.03.15

平成27年3月期決算法人の留意点

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1.はじめに

平成25年度の国税庁の調査では、年1回決算法人のうち、3月決算法人が占める割合は約19.6%と他の月と比べて高い割合になっております。(3月決算法人507,523社/全体2,590,950社)


そこで今回は日本で最も多い3月決算法人を対象に、平成27年3月決算法人の留意点(英語版:Corporation Tax Points for FY2014)として、多くの会社様に関係がありそうな以下の項目を選んで述べたいと思います。
 
 ●復興特別法人税の1年前倒し廃止
 ●交際費課税の緩和・延長
 ●所得拡大促進税制の拡充・延長


2.復興特別法人税の廃止

当初は、原則として平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度において、法人税額に対して10%の復興特別法人税を納付する義務がありました。


しかしながら、平成26年度の税制改正において、復興特別法人税を1年前倒しして終了することになりました。


これに伴いまして、実効税率も平成26年4月1日以降開始事業年度の法定実効税率は、以下の通り38.01%から復興特別法人税を含まない35.64%に引き下げられます(資本金の額が1億円超の法人に対する東京都の税率の場合)。


改正前
実効税率=(法人税率 ✕ 1.1+法人税率✕住民税率+事業税率)/(1+事業税率)
           =(25.5% ✕ 1.1+25.5% ✕ 20.7%+7.55%)/(1+7.55%)
    ≒ 38.01%


改正後
実効税率=(法人税率+法人税率✕住民税率+事業税率)/(1+事業税率)
            =(25.5%+25.5% ✕ 20.7%+7.55%)/(1+7.55%)
             ≒ 35.64%


3.交際費課税の緩和・延長

今までは、法人が支出する交際費等(一人当たり5,000円以下の飲食費等を除きます。)は、原則として全額損金不算入(税法上の費用にならない)でした。
(ただし、中小法人については、年800万円に達するまで全額損金算入できます。)


平成27年3月期決算から、交際費のうち飲食のための支出(社内接待費は除きます。)の50%を損金算入可能とします。(図1参照)
なお、中小法人については、現行の年800万円との選択制です。


(図1)


※ここで言う「中小法人」とは、資本金1億円以下の法人のことで、資本金5億円以上の法人の子会社等は除かれます。


4.所得拡大促進税制の拡充・延長

改正前は、基準年度と比較して、5%以上、給与等支給額を増加させた場合には、当該支給増加額の10%を税額控除[法人税額の10%(中小企業者は20%)を限度]できました。

改正後は次の見直しを行った上で、その適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長されました。


⑴ 雇用者給与等支給増加割合の要件(改正前:5%以上)について次のとおりとします。

   ① 平成27年4月1日前に開始する事業年度 2%以上
   ② 平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度 3%以上
   ③ 平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度 5%以上


⑵ 平均給与等支給額の要件について、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の計算の基礎となる国内雇用者に対する給与等を、継続雇用者に対する給与等に見直した上で、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること(改正前:以上であること)としました。


※ここで言う中小企業者とは、資本金1億円以下の法人(大規模法人の子会社等を除きます)又は常時使用する従業員1,000人以下の資本を有しない法人をいいます。


5.おわりに

今回は、平成27年3月期決算の留意点についてお話させていただきました。上記の税制改正は、いずれも所得・消費の拡大を狙ったものですので、法人・個人にとって有利になるものと思われます。
なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。


ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)
● 五味雄治・本庄資(平成26年)「平成26年版 和英対訳 法人税法」 <http://www.sozeishiryokan.or.jp/corporation_tax/corporation_tax2014e.html>

  平成27年3月3日アクセス
● 五味雄治・本庄資(平成25年)「平成25年版 和英対訳 法人税法」<http://www.sozeishiryokan.or.jp/corporation_tax/corporation_tax2013e.html>

  平成27年3月3日アクセス
● 財務省(平成26年)「パンフレット 平成26年度税制改正」<http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei14_pdf/14zeisei.pdf>

  平成27年3月3日アクセス
● 財務省(発行年不明)「平成26年度税制改正の大綱の概要(平成25年12月24日閣議決定)」<http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2014/26taikou_gaiyou.pdf>

   平成27年3月3日アクセス
● 経済産業省(発行年不明)「所得拡大促進税制のご利用の手引」<http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/taitehenkou.pdf>

  平成27年3日3日アクセス
● 国税庁(平成25年)「税務統計」<https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/hojin2013/pdf/04_hojinsu.pdf>

  平成27年3日5日アクセス

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