ニュース詳細

2025.11.28

輸出物品販売所の消費税の取り扱いの改正2026

ニュース一覧

1. はじめに
日本は訪日外国人旅行者が急増し、外資系ブランド・小売企業にとって最も重要な市場の一つになっています。2026年11月1日から、訪日外国人向けの免税制度が抜本的に見直され、「リファンド方式」が導入されます。本ニュースレターでは、日本進出を検討している外資系企業・すでに日本で店舗運営を行う外資企業向けに、実務への影響を最短で理解できるよう最適化して解説します。

2. 現行制度の仕組み
現在は、海外からの旅行者が対応店舗でパスポートを提示すると、購入時に消費税分が免除される「購入時免税方式」が採用されています。例えば、1万円の買い物なら消費税込み10%分が差し引かれて支払い、旅行者はすぐに税金が戻る仕組みです。

3. なぜ改正するのか
今回の制度改正は、現行の免税制度で生じていた課題を解消するために実施されます。まず、免税購入した商品を大量に仕入れ、日本国内で転売する不正行為が増加していたことが大きな背景となっています。また、免税手続きに伴う小売事業者のシステム対応や書類管理などの事務負担が重かったことも改善が求められていました。さらに、還付方式は欧州・アジアなどで国際的に一般的な仕組みであり、制度の透明性を高める観点から日本もこれに合わせる必要があった点も、改正の要因となっています。

4. 主な変更点
- 2026年11月1日施行:「購入時免税方式」から「リファンド方式」へ切り替え
- 購入時に税込価格で支払い、出国時に還付
- 消耗品の特殊包装・上限額の撤廃、カテゴリ統合
- 別送の廃止、直送制度の継続
- 高額品(100万円以上)にはシリアル番号等の特定情報が必要

5. 外資系企業にとっての影響
外資系企業への影響として、まず POS や免税関連システムの改修が必須となります。免税処理が購入時から出国時の還付方式へ変わるため、POS レジや免税管理システム、電子データ送信などの対応が必要になります。特にグローバル統一 POS を利用している企業では、日本向けのローカライズが発生し、改修工数が大きくなる可能性があります。
一方で、改正後は 店舗オペレーションが簡素化されます。包装義務の撤廃や物品区分の統合、別送制度の廃止により、免税手続きにかかる現場負担は大きく軽減されます。

また、ラグジュアリー・時計・宝飾品などを扱う企業では、高額商品のシリアル番号管理が義務化されるため、在庫管理システムと連携した記録体制の整備が求められます。

5. おわりに
今回の解説は、戦略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。
個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に下記URLのお問い合わせよりご相談下さいませ。

参考文献:
国税庁:輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し|国税庁
(アクセス:2025年11月25日)
J-TaxFree: 新免税制度「リファンド方式」について
(アクセス:2025年11月25日)

ページの先頭へ