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2025.09.30

グローバルビジネスの必需品:ロイヤリティ源泉税の基礎知識

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1.はじめに
海外企業との取引が増える中で、知的財産の使用に関する「ロイヤリティ(使用料)」の支払いは、国際ビジネスにおいて重要なテーマとなっています。特許、商標、著作物などを海外から利用する場合、日本企業はロイヤリティを支払う必要がありますが、その際には税務上の注意点がいくつかあります。
この記事では、国税庁および関連資料をもとに、クロスボーダーでのロイヤリティ支払いに関する基本的な考え方と実務上のポイントを、わかりやすく解説します。

2.ロイヤリティとは?
ロイヤリティとは、他者の知的財産を使用する対価として支払う料金のことです。たとえば、海外企業が保有する技術やブランドを日本企業が使う場合、その使用料としてロイヤリティを支払います。
この支払いは、単なる費用ではなく、税務上は「所得」として扱われるため、支払先の国や契約内容によって課税の方法が変わります。

3.源泉税の仕組み
日本では、海外にロイヤリティを支払う場合、国内法に基づき原則として20.42%(所得税および復興特別所得税を含む)の源泉徴収が必要です。支払者が税金を差し引いて国に納める仕組みであり、相手国での課税関係も考慮する必要があります。
ただし、相手国との間に租税条約がある場合、源泉税が軽減または免除されることがあります。たとえば、日米租税条約ではロイヤリティに対して条約上の上限税率が設けられており、一定の条件を満たすことで軽減措置を受けられる場合があります。
この軽減・免除を受けるには、所定の届出書を税務署に提出するなどの手続きが必要です。

4.実務上の注意点
● 条約の適用には事前申請が必要
   租税条約による軽減措置を受けるには、国税庁指定の「租税条約に関する届出書」を事前に提出する
      必要があります。手続きを怠ると、国内法上の20.42%が課税されてしまいます。
● 契約書の明確化
      ロイヤリティの対象や金額、支払条件を契約書に明記することで、税務調査時のトラブルを防ぐことが
      できます。
● 二重課税の回避
      支払先の国でも課税される場合、日本側で「外国税額控除」を利用することで、二重課税を回避する
      ことが可能です。適用には申告手続きが必要です。
● 消費税との関係
      ロイヤリティが「役務の提供」とみなされる場合、消費税の課税対象となることがあります。
      国外事業者からサービスを受ける場合には、リバースチャージ方式により日本側が申告・納税
      する必要があります。
      対象範囲や制度変更があるため、最新の国税庁の案内を確認することが重要です。
● 為替換算の扱い
      外貨で支払う場合は、支払時の為替レート(電信買相場等)で円換算を行い、その金額を基に
      源泉徴収税額を計算します。

5.おわりに
今回の解説は、戦略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。ご不明な点等ございましたら、お気軽に下記URLのお問い合わせよりご相談くださいませ。

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参考文献

国税庁:No.2884 非居住者等に対する源泉徴収(源泉徴収の税率)(アクセス日:2025年9月24日)

国税庁:No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)(アクセス日:2025年9月24日)

国税庁:No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係 (アクセス日:2025年9月24日)

U.S. – Japan Income Tax Treaty(条約本文/米国財務省サイト)(アクセス日:2025年9月24日)


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