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2025.08.29

外国人起業家向け「経営・管理ビザ」要件の厳格化

資本金500万円から3000万円へ

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1.はじめに
政府は、外国人が日本で起業する際に必要となる「経営・管理ビザ」の要件を大幅に見直す方針を示しました。これまで比較的緩やかとされてきた条件が厳格化されることで、不正利用の防止を狙う一方、外国人起業家の参入意欲に影響を与える可能性もあります。本記事では、その改正内容と背景、そして実務に及ぼす影響について解説します。

2.制度改正の背景
経営・管理ビザは、外国人が日本で事業を行うために必要な在留資格の一つです。これまでは「資本金500万円以上の準備」または「2人以上の常勤職員の雇用」のいずれかを満たせば取得可能でした。
しかし近年、経営実態のないペーパーカンパニーによる申請や「定住目的の抜け穴」として利用される事例が増加。2024年の在留者数は約4万1000人と5年前に比べ5割増加しており、制度悪用の懸念が国会でも指摘されていました。

3.改正のポイント
今回の省令改正案の主な変更点は以下の通りです。

資本金要件の引き上げ
従来の500万円から、3000万円以上へ大幅に引き上げ。

雇用要件の厳格化
「1人以上の常勤職員の雇用」を必須条件に追加。資本金と雇用の双方を満たす必要あり。

経営者の経歴・学歴要件
「3年以上の経営・管理経験」または「関連する修士号以上の学位」を新設。

事業計画の第三者確認
公認会計士や中小企業診断士による新規事業計画のチェックを原則義務化。

4.影響とリスク
この厳格化により、不正な在留資格の取得を防止する効果が期待される一方で、次のようなリスクも指摘されています。

起業意欲の低下
3000万円という水準は、韓国や米国と同等レベルであり、日本の「比較的緩い条件」という優位性が
失われる可能性。

意欲ある起業家の排除
初期資金を確保しにくいスタートアップ人材が参入を断念する懸念。

運用コストの増大
行政側でも事業実態の確認が強化されるため、調査・審査に必要な人員負担が増える。

5.おわりに
経営・管理ビザの要件厳格化は、不正利用を防ぐ観点からは評価される一方、日本市場での起業ハードルを大幅に引き上げることになります。政府は10月の省令改正を目指しており、実務に携わる現場では早急な対応が求められます。今後は「不正防止」と「起業促進」のバランスをどう取るかが、日本のスタートアップ環境における大きな課題となるでしょう。

参考文献
政府、外国人の「経営ビザ」要件を厳格化|日本経済新聞
(令和7年8月26日アクセス)

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