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2025.07.18

DC・iDeCo制度の見直し、税制改正及び熱中症対策義務

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1. はじめに
今月は、企業型・個人型確定拠出年金制度(DC・iDeCo)に関する法改正に加え、基礎控除や給与所得控除の見直しといった主要な税制改正の動向を取り上げます。
また、いわゆる「150万円の壁」への対応として新たに創設された所得控除や、退職所得控除の見直しなど、企業実務に影響を及ぼす改正内容も整理しています。
さらに、職場における熱中症対策の義務化についても、実務対応の観点からポイントを解説します。

2. DC及びiDeCoに関する近年の法改正
<企業型DC加入者の加入可能年齢引き上げ>※令和4年5月施行
企業型DCに加入することができる年齢を70歳未満までに拡大(改正前:60歳未満)

<iDeCoに加入できる年齢要件などの拡大>※令和4年5月施行
以下の方が、新たに加入可能となります。
国民年金第2号被保険者で60歳以上65歳未満の方
60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
国民年金に任意加入している海外居住者

<企業型DCとiDeCo等の拠出限度額引き上げ>※令和7年10月以降施行予定
・企業年金のある第2号被保険者は、iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業年金への拠出額の合計に対する
   共通拠出限度額に一本化し、月額 6.2万円に引き上げ
・企業年金のない第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額を月額6.2万円に引き上げ
・第1号被保険者のiDeCoと国民年金基金の共通拠出限度額を月額7.5万円に引き上げ
 (改正前:月額6.8万円)

3. その他税制等改正
<基礎控除・給与所得控除の見直し>
・所得税の基礎控除について合計所得2,350万円以下の控除額を58万円に引き上げ(改正前:48万円)
 加えて、合計所得金額に応じ基礎控除を最高37万円上乗せする特例措置を創設
・所得税と個人住民税の給与所得控除について、最低保障額を65万円に引き上げ(改正前:55万円)
 ※令和7年分以後の所得税、令和8年度分以後の個人住民税に適用

<大学生年代の子等の親等への特別控除の創設(150万円の壁)>
・子等の給与収入が150万円以下の場合は63万円の所得控除を適用、150万円超の場合は控除額を
 段階的に逓減
   ※令和7年分以後の所得税、令和8年度分以後の個人住民税に適用

<扶養親族等の所得要件の見直し>
・同一生計配偶者と扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下に引き上げ(改正前:48万円以下)
・ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下に引き上げ
 (改正前:48万円以下)
・勤労学生の合計所得金額要件を85万円以下に引き上げ(改正前:75万円以下)
・所得税では、家内労働者等の事業所得等の所得の計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低
   保障額も、65万円に引き上げ(改正前:55万円)
   ※令和7年分以後の所得税、令和8年度分以後の個人住民税に適用

<退職所得控除額の調整規定等の見直し等>
・退職手当等(老齢一時金を除く)を受け取った際、前年以前4年内(5年ルール)に受け取った確定拠出
   年金の老齢一時金がある場合に、退職所得控除額の計算で調整される規定について、調整の対象を前年
   以前9年内(10年ルール)に受け取った老齢一時金に拡大
   ※令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払いを受けている場合であって、同日以後に支払いを受けるべき
  退職手当等に適用
・老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間を10年に改正(改正前:7年)
・退職所得については、改正前は「役員のみ」とされている源泉徴収票の提出義務の対象が、「すべての人(日本の居住者)」に拡大
   ※令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票について適用

4. 熱中症対策の義務化
2025年6月1日から、労働安全衛生規則改正により、職場での熱中症対策が義務化されました。
・対象作業:WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日
    4時間を超えての実施が見込まれる作業
・改正による義務化の内容:
   ① 熱中症患者の報告体制の整備
   ② 初動対応手順の策定(熱中症患者を発見した際の対応)
   ③ 関係者への周知
   ・罰則: 法規違反の場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

ARK社会保険労務士法人では、職場における熱中症対策義務に対応するため、現場の状況に応じた実践的なアクションプランの策定をサポートしております。お気軽にお問い合わせください。
https://www.ark-outsourcing.jp/contact/

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