1. はじめに
最近、労働関連のニュースや行政指導の中で「偽装請負(ぎそううけおい)」という言葉を目にすることが増えてきました。2025年には厚生労働省が企業への監視を強化し、形式上は「業務委託(請負契約)」でも、実際には「労働者派遣」と変わらない状態で働かされているケースに対して是正措置を講じる動きが強まっています。
この「偽装請負」は、企業がコスト削減や人手不足への対応を目的に、外部の会社に仕事を依頼する際によく見られるトラブルです。見た目は問題なさそうな契約でも、現場の実態と合っていなければ法的リスクをはらみます。本記事では、業界に詳しくない方にもわかりやすく、偽装請負の基本と注意点を解説します。
2. 偽装請負とは?
偽装請負とは、仕事を外部に「業務委託」しているように見せかけながら、実際にはその労働者を自社の社員のように直接指示して働かせることを言います。本来、業務委託とは、仕事の成果に責任をもつ契約であり、作業の進め方などは委託先の判断に任されるべきです。
ところが現場では、委託先の社員に対して、発注元の社員が日常的に「こうやって」「いつまでに」などと細かく指示を出している場合があります。これは法律上「派遣」に該当する可能性が高く、契約と実態が食い違っていることになります。
3. なぜ偽装請負が問題なのか?
偽装請負が問題になる理由は大きく分けて2つあります。
1つ目は、労働者保護の観点です。派遣契約には労働者の安全や労働条件を守るルールが多数ありますが、偽装請負ではそれが適用されず、結果として労働者が不利な環境で働くことになってしまうのです。
2つ目は、企業側の法的リスクです。偽装請負が発覚した場合、厚生労働省からの是正指導や契約の停止命令が出されることがあります。また、企業間で結ばれた契約が無効とされる可能性もあります。
4. 消費税や取引の観点からも注意が必要
業務委託契約は消費税の課税対象となりますが、実質的に労働者派遣であった場合、税務処理が誤っていると判断され、追徴課税のリスクも生じます。契約内容と現場の実態が合っていないと、税務・労務の両面で大きな問題につながるため、注意が必要です。
5. おわりに
今回の解説は、戦略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。ご不明な点等ございましたら、お気軽に下記URLのお問い合わせよりご相談下さいませ。
参考文献
偽装請負について|東京労働局
(令和7年6月16日アクセス)
国税庁「消費税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6101.htm?utm_source=chatgpt.com(令和7年6月16日アクセス)
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