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2016.01.29

平成28年度税制改正について

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1. はじめに
平成27年12月16日に政府与党(自由民主党・公明党)による「平成28年度税制改正大綱、(以下、大綱)」が公表され、平成27年12月24日に大綱が閣議決定されました。大綱によると成長志向の法人税改革をさらに推進することとされており、法人実効税率の引下げ、課税ベースの拡大および消費税の軽減税率導入等の措置が盛り込まれています。


本ニュースにおいては、閣議決定された大綱のうち法人課税における主要な改正項目を中心にご紹介いたします。なお、今後の国会における法案審議の過程において、内容に修正等の変更がある可能性がありますのでご留意ください。


2. 法人課税
(1) 法人実効税率の引下げ
  成長志向の法人税改革を推進するため、法人税の税率(現行23.9%)については、

  次のとおり、段階的にさらに引下げられます。


  - 平成28年4月1日以後に開始する事業年度:23.4%
  - 平成30年4月1日以後に開始する事業年度:23.2%


  法人事業税所得割の税率引下げ(6.0%→3.6%)も寄与し、標準的な法人実効税率は、

  平成27年度の32.11%から29.97%(平成28年度)に、さらに29.74%(平成30年度)

  に下がることとなり、将来的には20%台への引下げを目指します。

  ※ 中小法人の所得800万円まで15%の特別措置については、

    平成29年4月1日以降の延長等の明示はされていない。


(2) 減価償却の見直し
  課税ベースの拡大および法人実効税率引下げによる財源確保の一環として、

  現行では定率法を選択できる建物附属設備および構築物について、

  平成28年4月1日以後取得の資産から定額法に一本化されます。


  鉱業用減価償却資産については、定額法と生産高比例法の選択制とされます。


(3) 欠損金の繰越控除制度の見直し
  資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人または相互会社等(大法人)における欠

  損金の繰越控除制度は(現行:65%)、平成27年度税制改正で既に見直しが行われました

  が、財源確保と改革に伴う企業経営への影響の平準化の観点から、平成28年度から5%ず

  つへの引下げが更に見直されました。


  同時に、欠損金の繰越期間を10年(現行:9年)に延長する措置が1年遅れて適用されるこ

  ととなります。


(4) 外形標準課税の拡大等
  法人事業税の外形標準課税(資本金1億円超の普通法人)については、

  平成27年度改正により税率が拡大されたが、これについてさらなる拡大が行われ、

  標準税率は次のように改正されます(平成28年4月1日以後開始事業年度から適用)。

  地方法人特別税については、法人事業税所得税割の税率引下げに伴って、

  現行の93.5%から414.2%に引上げられる改正が行われます(平成28年4月1日以後に開始

  する事業年度から適用)。

  なお、地方法人特別税は平成29年4月1日以後開始事業年度から廃止され、法人事業税に復

  元されます。


3. おわりに
今回は、「平成28年度税制改正―法人課税」についてご説明しました。次回以降で、消費税および国際課税についても随時ニュースで配信をいたします。


なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。


ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)
平成28年度税制改正大綱

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