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2015.08.15

ふるさと納税制度の概要及び平成27年度税制改正点

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1. はじめに

「ふるさと納税」については、マスコミでもしばしば取り上げられているので、すでに利用されたことのある方、または今後利用を検討している方もいらっしゃると思います。


今回は、この「ふるさと納税制度」の概要及び平成27年度税制改正における制度の改正点(英語版:Hometown Tax System (Furusato-nozei) and Tax Reform for FY2015)についてお話したいと思います。


2. 基本的な制度

ふるさと納税制度は、元々、地方経済に新たな活力を与えることを目的として、2008年、第一次安倍政権時にスタートしました。


名称はふるさと納税ですが、実際には都道府県、市町村に寄附をする制度です。当該寄附金については、確定申告することにより所得税額及び住民税額から控除することができ、あわせて各自治体から返礼品を受け取ることができます。


3. 3つの概念

総務省のサイトによりますと、この制度には、以下の3つの基本的な概念があります。


① 納税者が寄附先を選択する制度であり、自治体によっては、ふるさと納税をおこなった本人がその使途を選択できるようになっています。これにより納税者の税に対する意識が高まり、納税の大切さを考えるきっかけとなります。


② ご自分の生まれ故郷だけでなく、応援したい地域等に寄附をすることができます。この制度を活用することにより、その地域に興味を持ち、地域の自然、環境を育むことにつながります。


③ 各自治体がふるさと納税で地域をアピールすることで、自治体間の競争を生み活性化につながります。


4. 最近の傾向

2008年の開始から今日にいたるまで、ふるさと納税は人気を博してきました。総務省の統計によれば、寄附者の数は平成21年度の導入当初は3万人でしたが、平成26年度は約13万人に増え、寄付額も平成21年度の約73億円から、平成26年度は約142億円に増えております。


所得税及び住民税の控除による節税効果のみならず、各自治体からの寄附に対する多種多様な返礼品も人気の要因となっております。また、平成27年度の制度改正により一定の条件のもと、確定申告をせずに寄附金控除を受けることができるようになるなど、制度の簡素化により今後もさらに人気が高まるものと予想されます。


5. 自治体からの返礼品

上述の通りふるさと納税の人気のひとつとして、寄附を受けた自治体から「お礼の品」を受け取れることことに因りますが、具体的には地元ならではの海産物や果物、また地域の施設優待券、特別利用権等などがあり、自治体側も様々な品物やサービスを用意し寄附者を惹きつけ、かつ地域の産業や産物の宣伝効果を期待し、様々なアイデアを打ち出しています。


一方、寄附を募るため自治体間の返礼品の競争も激しくなっており、特産品のみならず高額な品や希少な品を提供する自治体もあり、本来のふるさと納税の趣旨から逸脱しているという問題点も指摘されています。


6.控除される税額

「ふるさと納税」による寄附金のうち、2,000円を超える部分については、一定の上限まで、次の通り、原則として所得税額及び個人住民税額から全額控除されます。


① 所得税…(ふるさと納税額(注1)-2,000円)x 所得税率(注2)
② 個人住民税(基本分)…(ふるさと納税額(注3)-2,000円)✕10%
③ 個人住民税(特例分)…(ふるさと納税額-2,000円)✕(100%-10%(基本分)-所得税率
→①、②により控除できなかった額を、③により全額控除(所得割額の2割を限度)(注4)


(注1) 控除の対象となるふるさと納税額は、所得税は総所得金額等の40%が上限です。
(注2) 平成27年度から平成50年度については、復興特別所得税が加算した率となります。
(注3) 控除の対象となるふるさと納税額は、個人住民税(基本分)は総所得金額等の30%が上限です
(注4) 7.①を参照ください。


7. 平成27度改正点
平成27年度税制改正により、住民税の控除上限額が2倍になり、また一定の条件のもと、確定申告をしなくても寄附金控除を受ける制度が創設されました。


① 住民税の控除上限額
平成27年1月1日より、住民税の特例控除額が1割から2割に拡充されました。住民税の特例控除額は、ふるさと納税のみに適用される控除で、基本分と合わせて控除されます。

尚、家族構成や住宅ローン控除の有無等によっても、上限金額が変わりますのでご注意ください。


② 「ふるさと納税ワンストップ特例制度」
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」とは、確定申告の不要な給与所得者等が、確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄附金控除を受けることができる制度で、平成27年4月1日以降に行うふるさと納税から適用されます。この制度の適用を受けた場合、所得税からの控除は発生せず、所得税控除相当額を含め、翌年度の住民税から控除を受けることになります。

尚、特例の申請には、ふるさと納税の納税先の自治体が5団体以内で、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附先の自治体に提出しなければなりません。


8. おわりに
今回は、「ふるさと納税」についてお話させていただきました。最近は、既出の通り本来のふるさと納税の趣旨よりも、税額控除のメリット、返礼品の内容等の制度のお得感が先行しているとの指摘もありますが、平成27年度の税制改正でさらに制度が利用しやすくなり、今後も人気が高まることが予想されます。ふるさと納税をご検討の方は、返礼品の内容だけでなく、本来の趣旨である寄附金の使途等にもご注目のうえご活用頂ければと思います。


ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)

総務省ふるさと納税ポータルサイト

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html
総務省自治税務局「ふるさと納税など個人住民税の寄付金税制」

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_3_kojin.html


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