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2023.01.31

国外居住親族に係る扶養控除の適用改正

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1. はじめに

給与等の源泉徴収および年末調整において、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除(以下、扶養控除等)の適用を受ける場合には、その親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出又は提示をすることとされています。また、令和5年1月からは、国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける一定の場合には、「留学ビザ等書類」や「38万円送金書類」の提出又は提示も必要とされるようになりました。今回は、国外居住親族に係る扶養控除の適用要件の改正についてご紹介いたします。


2. 制度改正のポイント

令和5年1月から、非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用範囲が縮小されました。具体的には、扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から下記①に該当し、②のイ)~ハ)のいずれにも該当しない者が除外されました。

① 年齢30歳以上70歳未満の非居住者
② 以下に掲げる者のいずれにも該当しない者
イ) 留学により国内に住所および居所を有しなくなった者
ロ) 障害者
ハ) 扶養控除の適用を受けようとする者(居住者)からその年において生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者

また、給与等の年末調整において、その扶養親族が上記①に該当し、②に掲げるいずれかの者に該当するものとして扶養控除の適用を受けようとする居住者は、その年の最後の給与等の支払いを受ける前日までに、その旨およびその該当する事実を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出するとともに、その非居住者である扶養親族が上記に該当することを明らかにする書類の提出等をしなければならないこととされました。


3. 扶養控除の適用を受けるための確認書類

上記2①に該当し、2②のいずれかの者に該当するものとして、国外居住親族に扶養控除の適用を受けるようとするためには、イ)~ハ)の区分に応じて該当する書類を会社に提出または提示する必要があります。
イ) 留学により国内に住所および居所を有しなくなった者
● 扶養控除等申告書の提出時に必要な確認書類
「親族関係書類」及び「留学ビザ等書類」
● 年末調整時に必要な書類
「送金関係書類」
ロ) 障害者
●  扶養控除等申告書の提出時に必要な確認書類
「親族関係書類」
● 年末調整時に必要な書類
「送金関係書類」
ハ) 扶養控除の適用を受けようとする者(居住者)からその年において生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者
● 扶養控除等申告書の提出時に必要な確認書類
「親族関係書類」  
● 年末調整時に必要な書類
「38万円送金書類」

※ 「38万円送金書類」とは「送金関係書類(金融機関から発行した書類又はその写し、クレジット発行会社が発行した書類又はその写し)」のうち、給与等の支払いを受ける居住者から非居住者である親族各人へのその年における支払いの金額の合計額が 38 万円以上であることを明らかにする書類をいいます。居住者が金融機関において送金を行った日、国外居住親族がクレジットカードを利用した日において、生活費又は教育費の支払いがあったものとされます。


4. おわりに

今回ご紹介した、「国外居住親族に係る扶養控除の適用改正」は、既に法律が施行されております。お伝えいたしました、「扶養控除等申告書の提出時に必要な確認書類」は対象者がいる場合には入社時及び1月の給与計算時に提出等の依頼をすべき書類です。
なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。



(参考資料)
国税庁
「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」

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