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2022.12.29

令和5年度税制改正大綱 国際課税関連

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1. はじめに

令和4年12月16日に、政府与党による令和5年度税制改正大綱が公表されました。今回は、そのなかで、国際課税制度の見直しに係る国際合意を受けて、国内法における改正が行われた項目についてご紹介します。なお、今後の国会における法案審議の過程において、内容に修正等の変更がある可能性がありますのでご留意ください。


2. グローバル・ミニマム課税への対応

法人税の引下げ競争に歯止めをかけるとの国際合意に則った法整備の一環として、所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)に係る法制化が行われ、総収入金額規模が大きな多国籍企業グループに属する内国法人について、軽課税国に所在する子会社等の法人税不足分を本国で上乗せし、最低税率15%が課税される制度が導入されます。

この制度は2024年4月以後に開始する会計年度について適用されます。具体的には、直前の 4対象会計年度のうち 2 以上の対象会計年度において、連結総収入金額が 7億5千万ユーロ(約1,100億円)相当額以上である特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税額にかかる法人税と地方法人税(仮称)が課されます。

なお、申告・納付期限は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内で、当該対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)がない場合は、当該申告を要しません。

また制度実施に合わせて、情報申告制度も創設され、多国籍企業グループにかかる情報をe-Taxにより提供することになります。


3. 外国子会社合算税制(CFC税制)の見直し

グローバル・ミニマム課税の導入により対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、外国子会社合算税制も簡素化されます。

まず、会社単位の合算課税の適用を免除するための基準について、現行の特定外国関係会社の租税負担割合が30%以上から27%以上に引き下げられます。

加えて、申告書に添付することとされている外国関係会社に関する書類の取扱いに変更があります。具体的には、一定の外国関係会社に係る財務諸表等の書類については、一部申告書への添付の必要がなくなり、保存のみで対応が可能となり、株主情報については、記載事項につき系統的に示した図で代用できるようになります。

この制度は2024年4月以後に開始する会計年度について適用されます。

4. おわりに

今回は、「令和5年度税制改正大綱」について、主に国際課税関連の改正についてご説明しました。経済のデジタル化が進む中で発生する課税問題に対応するため、今後も国際課税ルールの創設および見直しが予測されます。海外展開を行っている企業は、引き続き改正の動向に注目する必要があります。なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)
令和5年度税制改正大綱

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